2011年10月11日

◆泡瀬干潟 みんなの想い

何年も前のことですが、泡瀬干潟に関する集まり(シンポジウム?)に参加した時の話です。
最後の質疑応答で一人の若い女性が挙手しました。「私は地元に住んでいる高校生です。泡瀬がどんな海なのかを今日初めて知りました。私はこの先、子供を産んで母親になると思いますが、この海を子供達の代に残してあげたいと思いました。」という趣旨の率直な意見でした。

海から帰る途中のおじいさんに声をかけると、採ってきた海藻や貝を見せてくれたことがあります。「昔から、ここで採って帰って鍋で炊いて食べるのを楽しみにしている。でも、だんだん採れなくなってきている。」と。他にも何人かの人からも同じような話を聴きました。
近くの海から恵みをいただくのは、昔から続いてきた人と海とのかかわりであり、喜びだと思います。それが奪われていく状況は間違っている、と情けないような悲しい気持ちになりました。

泡瀬干潟を歩いていると、足元にたくさんの巣穴や盛り上がり(小さな丘のような)があるのが目につきます。姿は見えませんが、その下には何かの生きものがいるということです。
プランクトンやゴカイ、海藻、貝、カニ、魚、鳥・・。泡瀬の海の全ての生きものが人の眼に見える所に集合したら、ものすごい数でしょう。
彼らが人間界に申し入れをしたとしたら・・。泡瀬を歩くと、よくこんなことを考えます。

泡瀬干潟 みんなの想い 
泡瀬干潟 砂地の巣穴.撮影日 2009年1月31日 

泡瀬干潟 みんなの想い
泡瀬干潟 陸地寄りに棲んでいるカニ.撮影日 2008年6月4日

サンゴ群落で、魚の群れに出会いました。内地ではおなじみのクロホシイシモチです。来沖してから見たのはこれが初めてだったので、「沖縄にもいるんだぁ。しかも初めて見たのが泡瀬だとは。」と驚きました。図鑑で確認すると、分布は南日本・琉球列島とありました。
泡瀬のあの場所の環境が彼らに合っているのでしょう。
この日は、他にも初めて出会った魚がいました。図鑑によれば、やや稀な種類だとされています。泡瀬の海は奥が深い、と思いました。魚類の専門家によれば、この種類は内湾性である程度サンゴが生きている場所を好むそうです。この条件を満たす場所は、今の沖縄本島では限られているのではないでしょうか。

泡瀬干潟 みんなの想い
泡瀬 サンゴ群落のクロホシイシモチ.撮影日 2009年9月12日

埋め立てを推進したい人達の想いも、もちろんあるでしょう。
いろんな立場の人の切実な想いには、ちゃんと向き合って共有・検討することが大切なように思います。

私の願いは、今ある自然をできるだけ守っていくことが社会の共通認識になって、その上で社会の様々な課題に取り組んでいくようにしたい、ということです。



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Posted by 有光綾子 at 16:36 │泡瀬干潟